「-HOUND DOG- #echoes.」

第二話 アンチアンドロイドは羊を数えて眠る

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 特7課のオフィスに出社すると、さすがに社員はまばらだった。数人いる人間は夜勤だった者だろう。眠そうな顔をしているのをみるにつけ、特にこれといった事件は無かったようだ。
 挨拶を交わしながら、特7課用のロッカールームへ。特殊付属警察とはいえ、専用の制服など支給されないため、全員私服で作業に従事している。汚れるのがいやな者は、自費で買った作業服に着替える。勿論、男女別に別れており、ナムはいつものように自分のコートをハンガーに掛けて戻ってきた。
 特7課所属を示すバッジだけはわかりやすよう胸に取り付けてある。
 オフィスの中をとことこを走り回る穂ノ原を見つけて呼び止める。
「はい! 課長」
「君に重要任務を与える」
「はい!」
 びしっ! と敬礼をする穂ノ原。
「あいつらの相手をしてくれ」
 ナムの指さした先には、みゅみゅとその取り巻きが戸口の前でつっ立っている。大の男が二人も朝っぱらから汗だくで、脱水症状まで起こしてグロッキー状態だった。
「どちら様ですかー?」
「お客様だ」
 ナムは無難な説明をする。
「くれぐれも丁重に扱うように」
 厄介ものを押し付け終わったあと、自分の執務室である課長室へと入る。
 如月は目だけを寄越してきた。
「オハヨゴザイマス」と言って、もう一人いた客人が立ち上がり、握手を求めてくる。
「初めまして。リクドサン」
 男は、微妙にイントネーションの異なる日本語で語りかけた。
 ドクは二人のやりとりを尻目に、自分の定位置であるモニタの城へとこもる。
「如月部長、この方は?」
「米国連邦調査局の方だそうだ」
「――FBI?」
「YES」
 大きなバッジの張り付いた手帳を見せる。
 すらりとした背の高い白人男性だ。ブラックのスーツを着てホストクラブにでも顔を出せば、その店のナンバー1をかっさらうに違いない。よく出来たつくりの顔と、涼しげに笑う口元に、世の女どもは大枚はたいてでも自分のものにしたいと考える。
 簡潔に言えば、いけ好かないタイプだ。
「オハナシをお聞かせネガいたく」
「はぁ」
 不審者のような目つきで男を見る。
「Sorry.ニホンゴ、フナレなもので」

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