「-HOUND DOG- #echoes.」

第二話 アンチアンドロイドは羊を数えて眠る

「貴様らのその甘えた根性が気に食わん」
 明らかに他人の財布を当てにしている恵まれた乞食どもを一蹴する。
「間に合っている」
 相手もなれたものだ。
 チッ、とあからさまな舌打ちをするナム。
「確かにこの顔じゃ集客に貢献できないものな」
「扱いが非道でヤンス」
 怒りとともに千円札3枚を押し付ける。
「毎度」
 外へ出ると、路上駐車したミニパトに乗車する。ミニパトの乗員定数3人までだ。
 横を見ると、助手席に座ったオッドアイの子供が勝利者の余韻に浸っている。
「あとから返せよ」
 悲しげな表情に変わったドクを横目に、彼は車を発進させた。
 バックミラーの必死な形相が遠ざかる。
 ヒモ属性二人を置き去りに、ナムはアクセルを踏んで自分のオフィスへ急行した。

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