「-HOUND DOG- #echoes.」
第二話 アンチアンドロイドは羊を数えて眠る
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/ ３ / 喫茶”ホワイトマウンテン”。 社宅マンションから５０Ｍのところにある。ナムお気に入りの喫茶店で、自慢は独自のブレンドにより豆の旨味を極限まで引き出した”白富士珈琲”。お持ち帰りは５００ｇで７５０円。高い。 そのコーヒーに口をつけ、立ちのぼる香りと 「奢らないからな」 とナムは言った。 「外食なんて滅多にとらないんだぞ？ 君らが買い置きしておいた食材を片っ端から使い捨てにしてくれたおかげで、無駄な出費をする羽目になったんだ」 ズズ…とコーヒーを飲む。 「ただでさえ、今月から給料２５％カットで贅沢出来ないんだ」 「私は、その、ナム様の為にと思って……」 「言い訳はしなくていい」 しゅん、とうなだれる。 言い過ぎたかも知れないが、これ以上あんなことを繰り返されても困る。 「まったくだ」 バターをたっぷり塗ったトーストを片手に、隣のドクが指をさす。 「これだからオコサマは困る」 「貴方に言われたくありませんの」 「吾輩は年配だ！！」 子供同士の会話を横目に、ナムは今日の新聞を開く。 少女の左右には、彼女の部下が控えている。デブとヤセ、どう考えてもボディーガードには見えない取り合わせは、自分たちの頼んだモーニングセットＡが早く来ないものかとじりじりしている。 Ａセットはトーストと卵とコーヒー５００円。 Ｂセットはトーストとサラダとコーヒー６００円。 Ｃセットはサンドイッチとコーヒー６００円。 ナムはＡセットを選び、ドクはＢセット、少女――みゅみゅはサンドイッチとオレンジジュースの単品を頼んだ。 「お嬢様の悪口は許さないでヤンス！」 「あんた何様でゲス！」 「いたのかお荷物１号２号」 ドクがカリカリのトーストにかじりついて言葉を発する。 「食べながら話すなよ、ドク」 「こやつらは最強の能なし二人組だ。『タンク』なんぞの修理に数日掛けておる馬鹿者だからな。吾輩は一日でもとよりパワーアップまでこなしてやったというのに」 ドクがいつものように自分のスキルを自慢する。 「アッシらの仕事を横取りしたこそ泥野郎でヤンス！」 |