「-HOUND DOG- #echoes.」

第二話 アンチアンドロイドは羊を数えて眠る

「そんなもん――」
「ひゃっ」
 少女がくるりとターンして向こうをむく。
 手で顔を覆う。
「まだ何も言ってないんだが」
「ななな、なんて破廉恥な!」
 ナムは自分を見下ろして、隣のドクを見た。
「何かおかしいかな?」
「おかしくはないぞ。ここはおぬしの部屋で、おぬしの借家だ。どういう格好でうろついてようがなにもおかしくはない」
「いくら親しき仲と言え、そんな格好で迫ってくるなんて――」
 再度自分の格好を見下ろす。
 パンツ一丁にシャツ一枚の下着姿であることくらいしか思いつかなかった。
「しかし少々レディの前では変態性があると見受けられるかもしれん」
「……その、回りくどい言い方やめろよ」
「分かりましたわ! 私も女! 覚悟を決めます!」
 ナムは黙って寝室に戻り、昨日脱ぎ捨てたズボンをはいて戻ってきた。
 ドクの手を取り、腕を掲げる。
「ドクで」
「ふっ、まぁ当然であろう」
「まぁ! 不潔!」
「おかしな勘ぐりは頼むからやめてくれ」
 朝はテンション低いのに、なぜこれほど疲れねばならないのだろう、とナムは如月を呪った。

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