「-HOUND DOG- #echoes.」

第一話 怪盗淑女

「でもそれとこれとは話が別ですよね」
「はうっ!」
 丸め込もうとして再度蒸し返されるドク。すでに勝負は付いていた。
 ナムは床に散らばった書類を拾い始める。
「めっ! ですよ、先輩♪」
「な、ナムがよいと言ったのだ!!」
「えっ? 俺?」
 突如矛先をふられ、自分を指さす。
「い、言ったではないか! ほどほどにしておけと!」
「拡大解釈しすぎだぞ」
 JAR○に訴えても良いくらいだ。
「確かに言いはしたが」
「そら見ろ! 吾輩は悪くない!」
 こういう時に子供の容姿を精一杯に活用し、瞳をうるうるさせて哀れを誘う態度をとる。
「本当ですか、課長」
 真摯に尋ねてくる彼女に、書類を数えながら尋ねる。
「ああ」
「めっ! ですよ!」
 数える手を止めるナム。
 新米社員は恐れを知らない。
「……おまえはまず、年上に対する口の利き方から勉強しろ」
「悪いことすると警察にいいますよ」
「オレたちはなんだ?」
 ナムは2度目の同じ質問をした。
「はい。サプライズの社員であり、特殊付属警察甲種特務課です!」
 優秀な回答をしたと確信する瞳でこちらを見つめてくる部下。
 ナムはため息をついた。
 肝心なことを理解していない奴は最悪だ。

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