「-HOUND DOG- #echoes.」

プロローグ

「どこに感心してるんですか!」
 車を降りると、前を見る。
「あれか」
 真昼の太陽を照り返し、無機質な光沢で構築された巨大な金属加工の組み合わせが、上野公園の建築物を蹴散らしながらやってくる。
 『Dzoid』と呼ばれる産業機械だ。土木建築のものなのだろう。手にはシャベルとドリルが付いている。胴体部が円筒の形に手足が映えた通称『ドラムカン』タイプ。安価で工業用機械によく用いられている。
「どうしましょう?」
「残りの部下は?」
「みんな逃げましたよぅ」
「そうか。おまえの勇気はほめてやろう」
 コートから愛用のS&W M500ハンターMRを取り出す。手のひらよりもごつい超人仕様のハイスペック・リボルバーカノンは、S&W社が2004年、起死回生の一撃を賭けて打ち出した破壊力だけがウリのハンドガンだった。最強の破壊力を持つ銃。その名声は半世紀を超えた今でも衰えてはいない。
 全長457mm、重量2325g。まともな人間なら手を出そうもしない重量級の威圧感。44マグナムを越える454カスールさえも凌駕し、絶対的な威力を武器とする銃。実際モデルガンさえも所持を認められていない。所持する人間は問答無用で国家保安局にしょっ引かれるので注意だ。
「まだそんな旧式の実弾銃なんて使っているんですか?」
「うるせぇ」
 部下の頭を一撃して黙らせ、ナムはミニパトから拡声器を取り出すと、近づいてくる『ドラムカン』に向かって大声で怒鳴りかけた。
「警察だ! そこを動くな!!」
 ガガガガガ、と地面を掘り返しながら手と足の付いた不出来な二足歩行モドキが走ってくる。
「と、止まりません!」
「そうか」
 再び息をすぅと吸い、拡声器に向けて怒鳴りかける。
「特殊付属警察甲種特務課だ! 止まらんと税金が当てにできん民間企業がこれ以上公共物を破壊せんよう貴様を蜂の巣にして破壊する! 以上だ!!」
 拡声器を部下へと放り投げるなり、ナムは駆けだした。
「あ、課長!」
「奴は説得に応じなかった! 貴様が目撃者だ!」
「えええっ!? 今の説得だったんですか?」
 腰だめに銃を構えながら、全速力で近付く。
 ブルドーザー同然に公園を荒らし回る犯罪者に銃を向け、
 止まる。
 狙いを定め、引き金を引くと、ズゴン、という重い衝撃とともに500mmの巨大弾頭が大気を切り裂いた。マトとしては大きすぎる獲物に向かって、音速を壁を越えて直進する。

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