「二二拍手 巻之二」

第一話 出会いは突然に

「な、なんだ、委員長か。おどかすなよ」
 悪寒の正体がつかめず、きょろきょろと周りを見わたす日和。
「それより今、誰かいなかった? 一瞬、背筋が凍ったんだけど」
「しらない」
「あ、そう? おかしいなぁ」
 首をひねる日和。
「それじゃ、先にいくから」
 美鈴は笑顔のまま、無防備なつま先に足を振りおろした。

――ぐきっ!

「あらァ? なにか踏んだみたい」
 ほほほ、とわざとらしく口に手をあて、去っていく無常な女。
 悲痛な遠ぼえが、青空に尾をひいた。




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