「二二拍手 巻之二」

第一話 出会いは突然に

 どきどきしながら一歩踏みだすと、とつぜん黒い影にふさがれた。
 さっき車のドアをあけた運転手だ。
「すんません、急いでるんで!」
 重要なのは位置どりだ。いたずらな風の機会を逃すわけにはいかない。
 ひらり(かわ)そうとしたオレだが、黒服が滑るようにオレの前に移動した。
 ムッ!
 逆側に向きを変えると正面からふさがれる。
 おのれ……魂胆(こんたん)を見ぬかれているッ。
 じりじりと向かいあうオレと黒服。
 右へ動くと右に動く。
 左に動くと左に動く。
 やるな、この黒服。
 学生の頃はさぞインターハイで活躍したバスケ選手に違いない。
 完璧なデフェンスだな。
 ここはフェイントもまぜていくしかあるまい。
 待ってろ! ゴールは目の前だ!




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