「二二拍手 巻之二」

第一話 出会いは突然に

 ここは砂漠のフィールドか。
 歩いているだけで体力がうしなわれていくのさ。
 オレ、やっぱりここで死ぬかもしれない。
 
 ミーン、ミーン、ミーン
 
 セミの声がうるさい。
 たっぷりの自然。野生のセミも毎年大量に地中からわきだしてくる。
 地中か……
 冷たくて気持ちいいんだろうな。
 オレ、生まれ変わったらセミになろうかな。
 そんなことを考えていると、うつろなまなざしの視界に黒っぽいモノが近づいてくる。
「きたか……お迎えがよ」
 その黒っぽいモノは自動車っぽいブレーキ音をさせて目の前に止まる。
 黒服が運転席からおりてくると、オレに一瞥をくれ、無言で後部座席のガチャリと開けた。
 地につくほどの長い髪。
 まるで黒い翼のようにゆれて、地面すれすれを横切っていった。




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