「二霊二拍手! 巻之二」
第一話 出会いは突然に
ここは砂漠のフィールドか。
歩いているだけで体力がうしなわれていくのさ。
オレ、やっぱりここで死ぬかもしれない。
ミーン、ミーン、ミーン
セミの声がうるさい。
たっぷりの自然。野生のセミも毎年大量に地中からわきだしてくる。
地中か……
冷たくて気持ちいいんだろうな。
オレ、生まれ変わったらセミになろうかな。
そんなことを考えていると、うつろなまなざしの視界に黒っぽいモノが近づいてくる。
「きたか……お迎えがよ」
その黒っぽいモノは自動車っぽいブレーキ音をさせて目の前に止まる。
黒服が運転席からおりてくると、オレに一瞥をくれ、無言で後部座席のガチャリと開けた。
地につくほどの長い髪。
まるで黒い翼のようにゆれて、地面すれすれを横切っていった。
|
Copyright (C) 2014 にゃん翁 All rights reserved.