「二霊二拍手! 巻之二」
第一話 出会いは突然に
「カラダなんて、うっわー、さいってー! エロおやじ!」
「てっめ、グラビアアイドルやってるなら、男に見られてナンボだろーがよ!」
「グラビアなんて、過程よ過程! あたしは女優になるもん!」
「ハッ! 女優だぁ? お前なんかテレビでみたこねーしよ!」
「おあいにく様、今度テレビ出演きまりましたー!」
思いっきり舌をつきだすと、逃げるように階段を昇っていく。
「あ、待てよ! せめてオレにもアイスめぐんで! お願いします!」
抜けるよーな青い空。
坂を登りきったオレは、体力の半ばをうしなった顔で、さらに天上へとつづく石段に手をのばす。
みすずの背中ははるか遠く。
ヤロー。
なんでこの暑さなのにあんな身軽に階段昇れんだよ。
どうせまたマネージャーのあんちゃんをパシリに使ってここまで来やがったな。
うらやましい。
愛機を階段下に路駐すると、道着の入ったブルーのスクールバックをカゴから引っぱりだして背負う。
師匠から預かったこの道着はかならず毎日もち帰って自分で洗濯する。なんたって、師匠より授かった道着だからな。学校なんぞで着る市販の体操着なんかとは段違いだぜ。
たとえ鞄をわすれたって、この道着はわすれはしない!
オレは、決意を胸に秘め、再び階段を見上げる。
……高いな。
何段あるんだ。
毎回、百段くらいまでは数えられるが、それ以上はめんどくさくなってやめる。
というか、数えたら後悔するので無我の境地となって昇りつづける。
これも修業の一つだ。
師匠の愛を勝ちとるための。
「……ふぅ」
見ているだけでノド渇いたな。
戦士にも休息は必要だ。
ちょっと休憩。
”からすま神社”と達筆で彫られた石の塊に腰かける。
尻に敷いといてなんだけど、こういうの趣があっていいよね。
まさに和の歴史じゃないか。
水筒を手にとると、大口を開けてかたむける。
「…………」
ぽとっ。とひとしずく。
ふっ。
体力回復薬がなくては、いくら戦士でも回復できないぞ!
もうヒットポイントは一桁切ってるぞ!
「……暑い」
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