「二霊二拍手!」
第五話 ヤミヨミの神父
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あえかと金剛が素早く目を交わした。
神依りの札を取り出すと目の前にできた植物の壁に向けて放つ。
「我乞ひ願ふ。根堅州國の母神禊ぎし八の雷神に奉る。神鳴る裁きの黒き輪を」
札はのたうつ植物へと張り付くと、巨大な炎に変わり、瞬く間に黒い炭へと燃やし尽くした。
そこを錫杖を構えた金剛が走り抜け、念仏を唱えながら”不動明王金剛”の霊験を身に宿す。
輝く金色の肉体が長尺の錫杖を棒きれのように軽々となぎ払った。
「むぅ!」
神父がいない。
コツコツ、と錫杖の先がノックされた。
伸びきったその先に、薄笑いを浮かべた神父がいる。
「神は云われた。劫火で燃えよ、と」
御言葉とともに、金剛の身体が深紅の炎に掴まれる。
「ぬおぉぉぉ!!」
その状態でも、金剛は錫杖を振った。
空へと舞い上がり、とんぼ返りして神父が着地する。
突っ込んできたでくのぼうの錫杖の先に、人差し指を当てて止める。
「神は云われた。罪人に八つ裂きの刑を」
先からすさまじい速さで切り刻まれてゆく。
金剛はやむなく錫杖を手放した。
「我乞ひ願ふ。高天原に居坐す神に呼び掛けむ。八尋白智鳥の御影天叢雲の御力を」
あえかの投げた神札は輝ける白鳥の姿と鳴って、黒い神父の元へ向かった。
「南雲美鈴」
神父が声をかける。
「…………」
美鈴はぼうとした表情のまま、手の中にある御神体を掲げた。
陽の光を反射し、鏡面が虹色に照り輝くと光で神父を覆った。
白鳥はその光に吸い込まれ、数瞬のあと飛び出してきた同じ容貌が速さを変えず、あえかの元へと一直線に飛んだ。
「くっ――」
あえかは数枚の神札を取り出し、宙にばらまく。
その札を通るたび、白鳥が輝きを失くす。
しかし、完全ではない。
大蛇を斃したという日本武尊の力が巫女服とあえかを切り裂いた。
「師匠!」
日和が叫ぶ。
美鈴がかすかな反応を見せた。
「ちっ」
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