「二二拍手

第五話 ヤミヨミの神父

 日和と大沢木が同時に走り出した。
 溝口が白衣の袖を振り、黒い表紙の本を取り出した。
 パラリと開き、御言葉を唱える。
「神は云われた。第三日、と」
 雑草だらけの地面がわきたち、急激な背丈へと成長すると、生き物のように彼らの進路を妨害した。
 白衣のポケットから黒い帽子を取り出すと頭にかぶる。
 ついで白衣をはぎ取り、裏返しにして黒い神父服を纏う。
 パチ、パチと手際よくホックを留める。
 眼鏡を外した彼は、人を安心させる眼差しを”組織”の敵たちへと向けた。
「ようこそ。皆さん。わたしが闇黄泉の神父です」
 大麻を咥えた神父が言った。




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