「二二拍手

三話 旧校舎の妖怪おどろ

「……逃げられた」
 あえかはチッ、と舌打ちした。
 大沢木に見られていることを悟ると、慌てて穏やかな表情に戻る。
「追います。付いてきてください」
「ひーちゃんはどうするんだよ」
「ここは清浄に帰化されました。眠っていても大丈夫でしょう」
「寝る?」
 大沢木がいぶかしむと、日和身体は倒れてそのまま豪快にいびきをかき始めた。 
「御親友のいびきと一緒にいたいというなら止めはしませんが」
「遠慮しとくぜ」
 大沢木は言った。
「ひーちゃんとだけは一緒の部屋で寝たくねーな」
 あえかは微笑むと、少女の亡霊を追って駆けだした。




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