「二二拍手

二話 狂犬騒乱

「答えろ」
「ああン? やっちまうゾコラァ!!」
 仲間は奔りの興奮でアドレナリン全快だ。どこの誰だろうと、今の俺たちを止められる奴はいない。
 (ヘッド)は凶相を浮かべた。
「やっちまえ野郎ども!!」
 30分後。
”怒羅権救利忌”は壊滅していた。
 巨峰ブドウのように腫れた顔を引きずり起こされ、(ヘッド)は怯えた目でたった一人でチームを再起不能にした男をみた。
「……”狂犬”大沢木一郎」
「誰が人の名前なんぞ答えろっつった」
 大沢木は、こちらも傷だらけの顔で、それこそ狂犬のように獰猛な顔で凄んだ。
「答えろ。拳銃を持った中坊だ。知らねえか」
「し、しらねえ」
「……チッ! 無駄足か」
 ボロくずのように(ヘッド)を放り捨てると、ズボンのポケットに手を入れて歩み去る。
「どこにいやがる。あの野郎」
 鋭い犬歯をのぞかせ、呟くのだった。




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