「二霊二拍手!」
一話 少女霊椅譚
「知り合いですか?」
師匠はまた話題をもどすと、春日は「いえ」とまじめに答える。
「追われていたのをたまたま助けたんです。なんか、必死そうだったんで」
「そう」
気をうしなっている少女にいくばくかの哀れみの目をむけ、
「春日君。その子を背負ってわたしの家へ」
また鼻の下がのびていた日和は、途端に現実に引き戻された。
「ま、まさか冗談ですよね?」
今度は自転車以上に重いものを背負って、またあの坂を上らなければならないという悲惨な連想を否定したいようで、必死に愛想笑いを浮かべて言葉を待つ。
「早くしなさい」
スタスタと帰路についた師匠を見てあきらめた。
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