「二二拍手

一話 少女霊椅譚

「かすがー、きをつけろー。それじゃ朝礼はじめるぞー」
「な」
 絶句した委員長と正反対に、日和と志村は(やりぃ)と手をたたく。
「なぐもー、席につけー。じゃぁ点呼とるぞー」
 しぶしぶ席に戻ろうとすると、目の前に日和が立ちふさがる。
「……なによ」
「かえせよ」
「校則違反は校則違反。先生が預かれないならわたしが預かる」
「おまっ、ふざけ――」
「かすがー、席につけー。げんてんするぞー」
「ぐぬぬ」
 日和は「ふん」と悪態をついて去っていく委員長の姿を見送り、自分も席につく。志村の後ろの席だ。
 溝口の出席点検がはじまる。「あくつー」
(悪い。取りかえせなかった)
 日和は前の友人に小声であやまった。
(仕方ねえよ。休み時間にでもこっそり強奪(ごうだつ)しようぜ)
(だな)
(それにしてもよ。おまえって、委員長と仲悪いよな。なんかあったのか?)
「知るかよ。オレがきらいなんだろ」
「そこー、くちをつつしめー」
(じゃ、休み時間にな)
 日和は席に座りなおすと、委員長のほうをみて「ケッ」とつぶやいた。




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