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「外区」。それは街ではない。「外壁」より外に広がる場所を、街とは呼ばない――
ここに、一人の男がいる。
彼はこの街で最も畏れられ、最も蔑まれ、最も憎まれている人間。
風采の上がらない風体に、薄汚れたコートを着た、
だが眼光だけは恐ろしく鋭く、何者をも否定する激しい憎悪で彩られている。
名をファウスト。魔術師。
この街における、法の執行者。
そしてまた、この街における最大の罪人。
――「悪魔」。
そう呼ばれている。
今、彼が追う犯罪者の名は『LOKI』。「裏切り者」という名の猟奇殺人犯だ。
外区の少女ばかりを狙った、悪質な変質者。ほとんどの人間が、そう思っていた。
しかし彼だけは気づいていた。
悪意ある意志で綴られた殺人計画。その果てにあるものは、
過去の自分が犯した罪――代償を伴う禁断の狂気だ。
自ら犯した罪に翻弄されながら、因縁の鎖は次第にファウストをとらえてゆく。
一人、また一人と殺される生贄をカウントダウンに、再び時が動き出す。
街を騒がせる殺人鬼の正体とは。進む針を止めることは出来るのか。
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