ここはぬばたま。

小説。
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詩聖ゲーテの残した偉大なる作 「戯曲ファウスト」。この有名な文学作品を知らぬものはこの世にいまい。私の運命を変えたのもまた、この一冊の本であった。行きつけの古本屋に一冊だけあった朱い背表紙のこの作品は、おそらくカバーがあったはずなのだが、私が手に取った時点ですでに失われていた。しかし中身の素晴らしさにそのような些細なことなどまったく関係はなく、ページを開いた瞬間の、あの電撃に打たれたかのような感覚を味わったことは、未だこの身に忘れがたい。

訳者は大山定一氏。すでに亡くなられて久しいが、この方の訳力があってこそ、あれほどの完成度の「ファウスト」の邦訳ができたことは間違いない。滑らかな口語体で描写される風景の一つ一つに躍動感がある。語られる言葉一つ一つに重みと軽妙さがある。まさしく、二人の詩聖が出会って生み出された至高の作品。岩波文庫の森鴎外など論外である。おそらくもうどこの書店に売ってなどいないだろうが、もし見つけたならば手に取ってみることをおすすめする。買うかどうかは貴方が決めるがよろしい。発行元は筑摩書房、昭和44年作である。ちなみに些か定価より高い。

ところで、そんな私が感銘を受けて書いたのが本作「ファウスト」である。ゲーテの戯曲とは遠くかけ離れたゲテモノ作品ではあるが、自分なりに納得のいく作品に仕上がったのではないかと自負している。まぁ、これも著者の欲目には違いないが、このあとがきを読んでいる方ならばすでに読み終わったあとであろう。いかがであったであろうか。

構想3年、書き始めて2年、合計5年も経過している。よくもまあこれだけかかったものだと苦笑する。プロの小説家の方々の作品がたまに月一ペースで書店に並ぶが、あれははっきり言って人間業ではない。少なくとも、私には神業と思える。

この作品完成までの間に、私事としてもいろいろなことがあった。時事としても、様々な出来事があった。
良くも悪くも時代は変化し、私個人も変化し続けている。だが、この作品はまずはここで終わりだ。次章
を描くつもりはあるが、遅筆の私がいつ世にお披露目できるかは皆目見当がつかない。
しかしそれでもいつかは貴方の目に留まるだろう。私が物書きやめない限り、いつか作品は完成をたどる
のだから。そして私はやめる気など更々ない。
偉そうだなおまえ殴るぞ。(20090822の著者)
つーか、昔の俺というやつは……●TLハズイ。戒めのためにここに残す。

それでは、また目の前の貴方に会える日を願って。

                        平成18年 3月 27日 著者より
著者近影...
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