「ファウスト〜殺戮の堕天使〜」
五章 神の奴隷
/ 1 /
夢と現(うつつ)に境界など存在しない。
その現実に生きている限り、それは夢とはいえない。満たされぬままに飢えを覚え、ひりつく喉に水を求め、骨と皮だけになろうが生きている。目が覚めぬうちに、どうして夢だといえようか。
力つき、倒れて目を閉じ、開けた先が現となる。
人はそれを毎日繰り返している。明くる日も、明くる日も、数えきれぬほど無限に繰り返し、夢と現を交互に巡る。
今が夢でないと、どうして言えようか。