人は光を求める。
それは群れた蛾のようだ。日の落ちた深い闇に、一つ、二つ灯った明かりに惹かれて、灼かれて落ちてゆく小さな虫けら。それでも、彼らは求めることをやめない。暖かい火の中に身を投じることで、一瞬でも憂き世のつらさを忘れようとする。
彼らは総じて言うだろう。現実などどこにあると。
閉じた目では幻しか見えない。塞いだ耳では幻聴しか聞こえない。腕を伸ばしたところで、それは夢の中でしかない。
それでも彼らは望むだろう。毒のある花に囲まれていることが幸せなのだと。
花たちは笑う。華やかな宴と甘い香りに誘われた、愚かな虫の末路を。