「-HOUND DOG- #echoes.」

第一話 怪盗淑女

 確認のため聞いてみる。
「そうよ! わたしが怪盗ピンク! 狙った獲物は逃がさないッ!」
「あのサイトの扉絵の人物と全く違うように見えるが」
 ドクが口にした言葉に、デブが照れくさそうに応える。
「あれ作ったのあちきでヤンスよ。良くできてたでヤンしょ? アニメーター志望でヤンス」
 おまえの趣味かよ。
 この変態め、という目ツキでデブを睨み付ける。
「でも、おかしいなぁ。あのサイト見て来たって人は、ピンク様を見るなりあからさまに落胆して出ていくでヤンスよ」
「そっちの趣味と違ったからじゃないか?」
「なんですの!? コソコソ話はおやめなさい!!」
 ピンクがビシバシムチを振り回しながら怒っている。
 半分くらいは期待に添えただろうに、とその様子を見て思う。
「子供はこんなところで遊んでないで家に帰って勉強するが良かろう」
「何ですの! 偉そうに! そっちだって子供じゃない!」
「ふっ、吾輩はこうみえてすでに千年ほど生きている」
「ホラ見なさい! 子供じゃない!」
 胸を反らし勝ち誇った少女に、ドクは怒ったオッドアイを向ける。
「吾輩は見かけより高尚なのだ! 敬え!!」
「私たちの仲間になりたいんでしょ? いいわよ。許してあげるわ」
 完全に子供扱いされるドク。
「ムキー!!」
 子供のように怒る。
「それからそっちの女は何というのです?」
「はい? ホノと言います! 将来は立派な女怪盗になるのが夢です」
「貴様、本職と真逆の道を歩むつもりか!」
「ふふふ。見所ありそうな奴ですこと!」
 気に入られてるし。
「宜しい! 戦力の補充も叶ったことでありますし、早く襲撃用Dzoidを作るのです! ガリ、まだできませんの!?」
「申し訳ないでゲスお嬢様」
 ロボットの肩の上で謝る部下その2。
「お嬢様じゃないのー!! 怪盗ピンクよ!」
「すいませんでゲスピンク様」
 なにか部下その2はやつれているような気がする。
「早くしないと間に合わないでありますの!! さっさとするのです!!」
「しかしアッシ一人では作業にも限度があるのでゲス」
「ふむ」
 ドクは旧タイプのDzoidに手を触れると、ごんごんと叩いて回り始めた。
「あっ! コラ! 何するでゲスか!!」

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