ここはぬばたま。
駄文の部屋。
お題:猫
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公園を散歩していると、捨て猫を見つけた。ミャーォミャーォと声がするので探してみると、草むらの影で小柄な猫が鳴いていた。
近づいてきて、私の前に居座り親しげに尻尾をふる。
不細工な猫だった。目は大きくつりあがり、右目の上にはナナメにざくりと傷がある。
首輪はなかった。どうやら、お腹がすいているようだ。
迷った。
「捨て猫に餌を与えなくでください」という看板をよく見かける。
社会通念上、捨て猫に餌をやることは禁じられている。捨て猫が子を産むことで、さらに捨て猫の数が増すからだ。悲劇が悲劇を呼ぶことは、誰かがどこかで止めねばならない。
しかしそれは結局どういうことなのか。
近所のスーパーでからあげと焼き魚とミルクを買った。
一度往復した道を戻ると、猫はまだいた。
草むらの影に、買ってきたものを広げて置いた。
からあげと焼き魚には目もくれず、ミルクをちゃぷちゃぷと飲んだ。
一心不乱なその様子に、私は満足だった。 いいコトをした気分だった。
帰り道。
道路わきのごみ捨て場で、猫を2匹見かけた。
通り過ぎる車におびえながら、人間に捨てられたゴミを漁っている。
私は目をそむけた。
正しいこととは、一体何なのだろうと思った。
おわり。
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