「二二拍手 巻之二」

序章、あるいは呪い唄

 どうして奇蹟をおこしてくれないの?
 おくすりなんて買えないから、奇蹟をおねがいしたのに。
 神父さまは言ってたのに。
 神さまのちからで、めを覚ましたひとはたくさんいるって。
 どうしておとうとは駄目なの?
 おとうともあたしと一緒にお祈りしてたよ。
 ずっとへやにいたから、きっとあたしよりいっぱいお祈りしてた。

 なんであたしじゃないの?
 なんであたしの大切なものをとるの?
 神さまなんてキライ。大きらい。

 神さまなんて信じない。
 神さまなんて、ほら吹きだ。
 この世の誰も信じない。
 みんなキライ、大きらい。
 あたしから大切なものを()った世界なんて、きえてなくなっちゃえばいい。

 みんなふこうになればいい。
 あたしがきっとそうしてあげる。



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