「二二拍手

二話 狂犬騒乱

「何やってるんですかー? みんなで」
「そうだ師匠! あーゆーテンパな娘が一人いるだけで、この道場の風紀が乱れる! オレと師匠の甘ずっぱい空気が乱される!」
「あれ? 大沢木君が何でいるの?」
「ああ? 誰だよおまえ」
 大沢木は鋭い目ツキに変えると、みすずに向けて言った。
「オレはてめーみてーなチャラチャラした女が大ッ嫌いなんだよ」
「な、なによー! あんたなんか小二のときに(コク)ってフられたくせに!」
「な、何で知ってやがる!」
 顔中真っ赤になって、大沢木が立ち上がる。
「誰だ! 誰がしゃべったんだ!?」
「あ、えーと、ね……そう、春日君!!」
「日和てめー!」
「待て、違う! なんかよくわからんが誤解だ! わかった! 入門許可するから!」
 仲良く道場を駆け回る3人を見た金剛は、手に持つ酒ビンに直接口をつけ、ごくごくと水のように飲み干した。
 ぷはぁ、と酒臭い息が吐き出される。
「騒がしいのう」
 彼の言葉に、あえかも微笑んでうなずいた。
「ええ。とっても」
 後日、大沢木は入門テストを受け、難なくクリアした彼は、無事『真心錬気道』への正式入門を果たした。
 そのとき日和がどうだったかというと……どうでもいい話であった。
(to be continue...)


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