「キラー・ハンズ」
.第九話
著者 藤田拙修
Staday,
「久しぶりのお客さんだ」 「何を驚いてるの?」 「入りなよ」 「君の意志が固いならね」 「『キラー・ハンド』へようこそ」 「食べる?」 「ショートケーキ」 「旨いよ」 「イチゴショート」 「あ、そ」 「じゃ、そこに座ってて」 「すぐに食べちゃうから」 「不景気だよねぇ」 「アメリカの会社も倒産しちゃった」 「国ぐるみで世界を巻き添えにして経済破綻のスパイラルが起きている」 「ぐるぐるぐるぐる巻き込んでは大きくなって」 「まるで大きな台風のよう」 「一人残らず巻き込まれて」 「宙に放り投げられてうまく着地できる人が何人いるか」 「資本主義のデメリットだよね」 「たかが30年程度前のことを教訓にしなかったのかな」 「真面目に生きている」 「無遅刻無欠席」 「誠心誠意会社に尽くす」 「滅私奉公のお馬鹿さん」 「気付いたらリストラ組にはいってた」 「ローンはン十年」 「子供は高校生」 「両親はまだ生きている」 「一億総中流」 「それはとっくの昔の話」 「社会に張られた綱から一歩踏み外した途端、社会の暗部に呑み込まれる」 「ほら、周りを見てみなよ」 「目を塞いできたものが次第に視界に入ってこないかい?」 「一寸先の自分の姿だ」 「さて、どうしようか」 「辿り着く結末の数は、数えるくらいしかない」 「多いからね。ここ最近」 「死体は目に付くところならどこでもいいだろ?」 「30萬」 「毎度」 「ちゃんとアリバイはつくってきた?」 「それなら準備O.K.だね」 「奥さんと娘さんも喜ぶよ」 「両親は悲しむだろうけどね」 (END) |